借金コラム

借用書なしで貸した金を取り返す方法とは?返済請求してみよう!

借用書なしで貸したお金でも、取り返せるかどうか、気になる人もいるでしょう。結論を言うと、返済請求をすることで、口約束だけで貸したお金でも戻ってくる可能性があります。ただし、内容をしっかりと証明できる方法で行うことが大切です。これから、借用書なしで貸したお金を取り返すための、返済請求や法的手段などのポイントを紹介します。

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借用書なしの貸し借りは有効!お金を貸した証拠を集めよう

お金を貸し借りする際の契約を「金銭消費貸借契約」と言います。民法第587条には「同じ種類や品質のものを同量で返すことを約束して、相手から金銭を受け取る」という意味の記載があり、口約束だけでも契約が有効になると解釈されます。借用書がなくても、契約自体は有効になっているため、貸したお金は返してもらえます。

借用書がない時には、お金を貸したことを証明できるものを用意する必要があります。例えば、お金を貸した時にやり取りしたメールやメッセージです。お金を貸した時の日付や場所・金額が証明できることが大切です。「何円貸してください」「何月何日にお貸しします」などのメッセージはお金を貸した証明になりますし、「いつ、返してくれますか?」などのやり取りも、返金を催促した証拠になります。データが残っている場合は、印刷して書面にするか、パソコンなどにバックアップをとっておくとよいでしょう。

銀行の預貯金通帳や振込明細書も、お金の貸し借りの証明になります。持っていた現金を手渡しした時には証明できませんが、金融機関でお金をおろしたり入金したりした場合は、その控えを残しておきましょう。また、貸し借りをした時や返済請求した証拠として、電話や対面での会話を録音するのも一つの手段です。「返済期限を延長してほしい」などの言葉を録音で残しておくことで、法的手段になった時に役立ちます。

借用書がなくても返済請求したい!その方法と手順とは?

借用書がない時に返済請求をする時には、「メールや口頭での請求」「内容証明郵便を送る」「訴訟の提起をする」「強制執行をする」の手順で行います。

メールや口頭での請求

最初に行うのが、お金の貸し借りをしていた事実の確認です。まずは、メールや電話・対面で、お金を返してもらいたいという話をして、返済の意志を確認しましょう。その際には、返済請求した証拠を残すことが大切です。対面や電話で会話をした時には、必ずその内容を録音しておきましょう。話をする時には、相手を脅さないよう注意します。脅す取り立ては、法的手段を使う時に不利になります。

内容証明郵便を送る

返済に応じない時には、内容証明郵便を送ります。内容証明郵便とは、記載した内容が事実であることを証明できるもので、返済を強制するものではありません。しかし、内容証明郵便は送付日と内容を郵便局が証明してくれます。書類が届いたことで、「本気で返済してほしい」という意志が伝わり、返済を促す効果があります。借りた側は言い逃れができなくなります。内容証明郵便には「借金の督促」「返済してほしいとお願いしたことへの返答期限」などを記載します。また、「返済がない時には法的手段に出る」という文面を記載してもよいでしょう。

内容証明郵便は決められた記載方法があり、1行の文字数や1枚の列・文字数が決まっています。記載する内容は文字数を郵便局で確認し、それに沿っていない時には受理されません。記号も使えますが、記号の種類によっては2文字とカウントされる場合があります。そして同じものを3通作成し、それぞれに押印します。手書き用では内容証明郵便作成用の複写用紙も販売されていますが、用紙に決まりはありません。インターネット上で内容証明郵便の作成と送信ができる「電子内容証明郵便」もあります。

郵便局に内容証明郵便を提出する際は、内容証明郵便に対応している郵便局かを調べましょう。そして、窓口で「内容証明郵便です」としっかり伝え、内容を確認してもらいます。記載方法で誤りがあり、その場で訂正することもあるため、必ず印鑑を持っていきます。間違い箇所には二重線を引いてから訂正し、欄外には「〇文字削除」「〇字加入」と記載してから押印します。郵便局では、「本人限定受取郵便」など、相手への渡し方を選択できます。料金は郵便料と書留料・内容証明料・配達証明料を合わせた金額がかかります。速達や本人限定受取には、さらにその分が加算されます。

訴訟の提起をする

内容証明郵便を送ったにも関わらず、相手が返済に応じない時には、法的手段をとることになります。金額や相手の態度に応じて、訴訟の内容は変わります。簡易的な訴訟もありますが、相手から異議が出た時には通常訴訟になります。また、借用書がない場合、相手が裁判で争うという姿勢をみせる可能性があります。このことを想定して、事前に証拠を集めておくことが大切なのです。法的手段については、次の項目で詳しく解説します。

強制執行をする

裁判で判決が出ているにも関わらず、相手が返済してくれない場合に、強制執行をします。裁判所で強制執行の手続きがされると、相手の意志に関係なく、財産を差し押さえることが可能です。相手の財産を強制的に回収し、そこから返済金に充てられるものを見つけます。強制執行で差し押さえられるものは、給与や不動産・自動車・預貯金などで、生活必需品は差し押さえることができません。相手に財産がない時など、強制執行できない場合もあります。

法的手段には四つの種類がある

法的手段をとる時には、「民事調停」「支払督促」「少額訴訟」「民事訴訟」という四つの方法があります。

民事調停

民事調停とは、一般市民から選ばれた調停委員と裁判官が仲介して、結果を出すものです。裁判ではなく、話し合いで解決策を見つけます。民事調停は自分で申し立てができ、手続きも簡単です。お金を貸した相手と会いたくない場合には、調停委員が対応します。また、費用も少ないとされています。例えば、10万円の返済請求をしたい場合、必要な金額は郵便料金と500円の手数料だけです。通常、3回程度の調停で解決し、おおむね3カ月以内に終わります。調停調書に記載された内容は、判決と同様の効力があります。

支払督促

裁判所で申し立てを認められると、その内容を相手へ督促してもらえるのが支払督促です。郵送できるため、相手と会わずに手続きできます。基本的には書類審査になるため、何度も裁判所に行く必要もありません。手数料は訴訟の場合の半分で、費用を抑えられます。この時、相手から異議申し立てがあれば、訴訟に移行できます。2週間以内に支払いや異議申し立てがなければ、支払督促への仮執行宣言や強制執行をすることができます。

少額訴訟

督促金額が60万円以下の場合、少額訴訟ができます。1回の審理のみで判決を出せるので、短期間での解決が期待できます。1回の審理だけで和解できる場合もあります。一方、審理が1回のため、事前の準備をしっかりと行わなければなりません。証拠品を持っていき、証言者がいれば、その日に同行してもらいます。少額訴訟も、比較的料金が安いです。10万円を請求する場合には、郵便料金と1,000円の手数料がかかります。効力は判決と同じで、強制執行や訴訟に移行することも可能です。

民事訴訟

民事調停や支払督促・少額訴訟でも解決しない時には、民事訴訟になります。正式な裁判として手続きするため、弁護士に依頼する必要があります。弁護士に内容を説明し、訴訟内容や今後のアドバイスをもらいます。民事訴訟は長期間かかる場合が多くなります。

困った時には弁護士事務所や法テラスへ!専門家に相談しよう

借用書がない場合の返金請求では、相手から逃げられる可能性があります。逃げられる心配がある時には、弁護士などの専門家に依頼をするとよいでしょう。借用書がない時に返済してもらう方法やアドバイスを教えてもらえます。それに、内容証明郵便を送る時、弁護士名を記載していると、相手に精神的プレッシャーを与えられ、返済してもらえる可能性が高くなります。弁護士は当事者同士のもめ事を回避し、冷静に対処してくれます。話し合いや交渉・手続きの代行もするため、手間や精神的ストレスを軽減できるのもメリットです。

弁護士に依頼する費用を用意できない時には、法テラスを利用するとよいでしょう。法テラスの正式名称は「日本司法支援センター」で、全国各地で無料の法律相談や支援を行っています。弁護士などが在籍しているため、専門家に話を聞けます。ただし、収入が一定以下などの利用条件があります。事前に、近隣の法テラスの窓口か、電話で問い合わせをして、利用条件に該当することを確認してから、予約をとり、後日相談するという流れになります。法テラスでは、近隣の弁護士などを紹介する制度もあり、裁判になりそうな時に役立ちます。

お金の貸し借りの際には借用書を作るのがベター

「金銭消費貸借契約」に借用書の有無は必須ではありませんが、借用書があることで不要なトラブルを回避できます。借用書には決まった書式がありませんが、冒頭に「借用書」と書き、日付と契約金額・利息・返済方法や期日を記載します。金銭を受け取ったという明記をしてもらうことも必要です。その上で、契約者それぞれの氏名と住所・押印をします。借用書自体をパソコンなどで作成しても構いませんが、氏名は自署にして、実印で押印するのが望ましいです。貸す金額が1万円以上の時は、契約金額に応じて、収入印紙を貼りつけます。なお、お金の貸し借りには時効があります。2020年の4月に民法が改正され、個人間の貸し借りの時効が10年から5年になりました。ただし、返済請求のための内容証明郵便を相手に送ると、時効が延長する場合もあります。

借用書がなくても大丈夫!返してもらう方法をしっかりと理解しよう!

借用書がなくても、お金を返してもらうことは可能です。借用書がない時には、お金を貸したことを証明できるものを集め、口頭やメールで督促することから始まります。それでも返済されない時には、内容証明郵便を送ってみましょう。内容証明郵便は書式などが決まっているため、適切かつ丁寧に作成することが大切です。状況や金額に応じて法的手段や強制執行を選択するとよいでしょう。

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