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絶対通るおまとめローンはある?利用する上での注意点も解説

おまとめローンとは、複数の金融機関からローン・借金をしている人向けの商品です。つまり、1つの金融機関などから融資を受け、これまでに借りている複数の金融機関に対して返済を行います。返済が終わった後は、おまとめローンとして融資を受けた金融機関に対してのみ返済を行っていく仕組みです。支払先が一本化されるというメリットがありますが、利用にあたっては注意点もあるので意識しましょう。

おまとめローンを使うメリット

本題に入る前に、おまとめローンを使うメリットについて触れておきましょう。1つ目のメリットとしては「金利が安くなる可能性がある」ということです。一般的に、消費者金融やクレジットカード会社、銀行などの金融機関が提供するカードローンは、借入額が高くなればなるほど、金利が下がります。これは、法律(貸金業法)によって、借入額が高くなればなるほど、上限金利も低くなる仕組みが取り入れられていることも関係しているでしょう。そのため、複数の金融機関からローンを借りている場合は、おまとめローンを使って1つの金融機関から借りている額を大きくした方が、金利が下がるのです。金利が下がれば、結果として総返済額も小さくなります。

2つ目のメリットとしては、返済を一括管理できることです。金融機関によっても、カードローンの返済のルールは全く違います。「A社は毎月5日に引き落とし、B社は毎月27日、C社は毎月15日」などというように、支払元となる銀行口座から引き落とされる日だってバラバラです。そのため、それぞれの引き落とし日には必ず残高が不足しないよう、調整をしなくてはいけません。仕事で忙しかったり、うっかりしていたりして残高不足になってしまうことが数回続くと、強制解約という形で残高の一括返済を求められることもあります。しかし、おまとめローンにすれば、基本的には返済日は毎月1日だけになるので、管理がぐっと楽になるでしょう。

3つ目のメリットとしては、年収の3分の1を超えていても利用できることです。そもそも、クレジットカード会社や消費者金融などの貸金業者が提供するローンについては「総量規制」という貸金業法の規制が及びます。これは簡単にいうと「年収の3分の1を超える貸付けは行わない」という決まりです。そのため、既に消費者金融やクレジットカード会社から借りている金額が、年収の3分の1に近い場合は、そこから追加して借りようとしても審査に落とされる可能性が高いでしょう。

しかし、おまとめローンは年収の3分の1を超えていても利用できます。貸金業法においては、除外貸付や例外貸付といって、顧客にとって一方的になるという意味で、総量規制の対象外となる取引についても規定があります。おまとめローンは例外貸付にあたるため、総量規制の対象外となることから、年収の3分の1を超えていても利用できるのです。

なお、銀行のカードローンは、銀行法という全く別の法律に基づき運営されている商品であるため、貸金業法の規制は及びません。ただし、全国の銀行を取りまとめる団体である一般社団法人全国銀行協会は「銀行による消費者向け貸付けに係る申し合わせ」を公表し、消費者の返済能力を正確に把握した上で貸付けを行う方針を示しています。そのため、実際は銀行や消費者金融、クレジットカード会社などのカードローンで借りている金額の総額が、既に年収の3分の1に近い場合は、審査に通らないことも往々にしてあることに注意しましょう。

注意点1.絶対通るおまとめローンはないことを意識する

次に、おまとめローンを使うにあたって、意識すべき注意点について解説していきましょう。1つ目の注意点として意識してほしいのは「絶対通るおまとめローンはない」ことです。おまとめローンも、貸金業法において規定がある商品の1つである以上、利用にあたっては審査が必須となります。そして、おまとめローンを使うという人は「すでに複数の金融機関から借り入れがあり、負担を減らしたいと考えている」人である可能性が高いです。

金融機関の側から見ると、貸し倒れる可能性が高い以上、慎重な取り扱いをせざるを得ません。そのため、一般的なカードローンの審査より、おまとめローンの審査の方が厳しくなります。どうすればおまとめローンの審査に通るかは、申し込みをする金融機関と、申し込みをした人の状況によっても異なります。「こうすれば必ず通る」と断言はできない以上、「絶対通るおまとめローン」もないと思っていた方が良いでしょう。

注意点2.自分の実情に合わせて金融機関を選ぶ

金融機関によっておまとめローンの審査の厳しさは差があるのも実情です。あくまで一般的な傾向ですが、消費者金融は地方銀行・都市銀行と比べると総じて審査が甘めで、通りやすいと言われています。一方、銀行の中でも、都市銀行よりは地方銀行の方がまだ審査に通りやすいのも実情です。また、注意が必要なのは、ろうきん(労働金庫)のおまとめローンです。ろうきんのおまとめローンは金利が低いため、審査に通れば総返済額をぐっと切り下げることができます。

しかし、そもそもろうきん自体が消費者金融や銀行とは違い、相互扶助のための共同組織形式をとる金融機関であるため、営利を目的としていません。つまり、利益を追求するために沢山の顧客を獲得する必要もない以上「最後まで継続安定して完済できるか」をきわめて重視しているため、審査もおのずと厳しくなります。さらに、ろうきんの場合「団体会員(ろうきんに出資して加入している労働組合等の組合員のこと)でないとおまとめローンは利用できない」「同一勤務先に1年以上勤務している」など、おまとめローンの利用自体に細かい条件が設けられていることが往々にしてあります。誰でも利用できるおまとめローンとは言えない以上、審査難易度はかなり高いと心得ておきましょう。

また、審査難易度とは違う話ですが、一口に「おまとめローン」といっても、「何をどれだけまとめられるのか」はそれぞれの金融機関によって差があります。「消費者金融・銀行カードローン・クレジットカードのキャッシング枠・クレジットカードのショッピングリボをすべてまとめられる」タイプのおまとめローンもあれば、一部の商品しかまとめられないタイプのおまとめローンもあるのです。「自分がまとめたいものに対応しているおまとめローンを扱っているか」は事前に確認しましょう。

なお、どこの金融機関でおまとめローンを申し込んだとしても、審査が終了し、実際に融資が実行されるまでには、大体1週間から2週間はかかります。もともとの借り入れ先となっていた金融機関と、おまとめローンを提供する金融機関との間で調整を行わないといけないためです。

注意点3.自分の状況を客観的に把握する

おまとめローンの目的は「複数の会社からの借り入れを一本化して返済しやすくすること」ですが、貸す側の金融機関にとっても「貸したところで完済してもらえるか」がとても重要になります。そのため、申し込む際は「そもそも、自分がおまとめローンの審査に通る状況なのか」を客観的に把握しておいた方が良いでしょう。最低限、チェックすべきポイントをいくつか解説しましょう。1つ目は「債務整理や長期返済遅延をしていない」ことです。これまでに利用してきたカードローンやクレジットカードの利用額について、定められた返済日にきっちり返済を行ってきたのであれば、さほど心配はしなくて良いでしょう。

しかし「カードローンの支払いを61日以上滞納している」「クレジットカードを強制解約された」など、いわゆる金融事故を起こし、個人信用情報に異動が登録されている状態であれば、おまとめローンの審査に通ることはありません。簡単に言うと「ブラックリストに載っている状態であればまずアウト」と考えた方が良いでしょう。もし、自分の個人信用情報が今、どうなっているのかを知りたければ、個人信用情報機関に開示請求を行いましょう。1,000円程度の手数料は必要ですが、オンラインで簡単に手続きが進められます。

2つ目は「現在、借入残高がある金融機関が3社以内である」ことです。やはり、借入がある金融機関が多ければ多いほど、おまとめローンの審査担当者も「この人は本当に返済できるほどの支払い能力があるのか」を慎重に見極めざるを得ません。個々の状況にもよって異なるので一概には言えませんが、目安としては3社以内であれば、審査に通る可能性はあるでしょう。逆に、4社以上であるとかなり厳しいと考えてください。

3つ目は「他社での借り入れの返済状況が良好」であることです。現在、他の金融機関で借りているローンについて、返済の遅延・滞納があるとおまとめローンの審査に通るのも厳しくなります。審査担当者にとっては「返済ができないほど困窮しているのかも」「そもそも、返済の計画が立てられない人なのかも」とネガティブな印象を与えるためです。目安としては、半年以上コンスタントに期日通りに返済できていれば、審査に通る可能性が出てきます。

4つ目は「現在の勤務先での勤続年数」です。例えば「大学を出てから、ずっと同じ会社で働いていて既に勤続年数は10年を超えている」という人であれば、審査においてはかなり有利になるでしょう。長い間、トラブルを起こさず働き続け、安定した給料を受け取れている以上、相応の支払い能力を有していると判断してもらえるためです。一方「3か月前に転職したばかり」など、現在の勤務先での勤続年数が短い場合は、審査はやはり厳しくなります。日本の企業の場合、たとえ正社員で採用された場合であっても3ヶ月から6ヶ月間は試用期間として扱われることが多く、試用期間終了後に本採用に至らない可能性はゼロではないためです。

そうなると、給料も入らなくなってしまうため、支払能力に対して疑念が生じることから、審査に対しても慎重にならざるを得ないでしょう。転職仕立ての人で、「今すぐおまとめローンを組まないと困る」というわけではない場合は、働き始めてから最低でも半年を経過し、本採用に至ったタイミングで動き始めた方が審査に通る可能性が上がります。

注意点4.追加融資はできない点を認識し、生活に行き詰まった場合のことも考える

一般的なカードローンであれば、融資限度額以内であれば追加で借入をすることができます。しかし、おまとめローンはあくまで「複数の借り入れを一本化し、返済を楽にするための商品」です。そのため、仮に何らかの理由でお金が必要になった場合、簡単に借りることはできないことを認識しておきましょう。なお、おまとめローンを扱う金融機関によっても「元の借り入れ先となっている金融機関の解約」が条件になっていなければ、お金が必要になった場合に借りることは理論上は可能です。

しかし、そもそも返済が大変だからおまとめローンを組む以上、安易に借りるのはあまりおすすめできません。毎月返済しなくてはいけない額が増えて、余計に生活が苦しくなるだけです。おまとめローンでの返済額は、複数の金融機関からの借り入れを1本にまとめる商品である以上、毎月それなりの金額になります。しかも、数年間かけて返済していかないといけなくてはいけません。そこに追加で借り入れをしたら、さらに返済額が膨れ上がり生活がパンクしてしまいます。その上、そもそもおまとめローンを組んでいる時に他の金融機関に対してカードローンを新規で申し込もうとしても、審査に通る可能性は低いです。

おまとめローンを使う際は、これらのデメリットも十分に認識し、まずは「自分がちゃんと返済していけるのか」を考えておきましょう。金融機関に頼めば「毎月の返済額がいくらになるのか」「トータルでいくら返済するのか」も含めた細かいシミュレーションをしてくれます。そして、仮に返済が滞り、生活に行き詰まった場合は、任意整理・個人再生・自己破産などの債務整理も検討しましょう。これらの手続きは、弁護士や司法書士などの専門家に依頼するのが現実的です。1人で悩んで自暴自棄になるのではなく、現実的に「今後どうすれば、前向きに生活していけるか」も踏まえ、最適な方法を考えてもらうのをおすすめします。

おまとめローンは便利だからこそ、利用は慎重に!

おまとめローンは、複数の金融機関から借り入れをしている人にとっては、返済を1本化できるという意味でとても便利な商品です。しかし、必ず審査に通るとは限らない上に、利用にあたっても注意が必要になるでしょう。おまとめローンの利用を検討する際は、複数の金融機関の担当者から話を聞き、慎重に手続きを進めましょう。